沖縄県での動きについて
2016年1月、沖縄県の子どもの貧困率29.9%が示され、同時に行われたアンケート調査の内容からも生活に困窮する家庭が浮き彫りになり大きな衝撃を与えました。
その様な状況の中、沖縄県においては子どもの貧困対策を県政の大きな柱に据え、解決に向けた取り組みも始まっています
行政のみならず、子ども関連団体・地域・企業それぞれの立場で何を担っていけばいいのかの模索が始まり、沖縄社会に全体に大きな課題として認識される事になりました。
その意味では、沖縄子どもの生活実態調査が果たした役割は大きな意味を持つもので、実態を把握する事の重要性が可視化されたとも言えます。
県は、子どもの貧困対策基本計画の中で、就学援助が補足されていない実態、生活に困窮する家庭の児童が学童クラブの利用が出来ていない実態なども示されました。
沖縄県は子どもの貧困打破に向け施策を担保する「子どもの未来応援基金」30億円を創設し、動き出しています。
県の基金を活用し、就学援助が利用出来ていない家庭や、基準の緩和や対象項目の拡大など行われるようになってきています。また、利用を促すTV・ラジオのCMが流されています。
生活困窮世帯への補助を行い、学童保育を利用できる支援策も始まっています。
行政のみならず官民を挙げた取り組みにすべく100を超える団体を網羅する沖縄子ども未来応援県民会議も発足しています。
内閣府予算、沖縄子どもの貧困対策として、10億円による子どもの居場所づくり事業100か所と寄り添い支援員も配置され、県内各自治体での取り組みも始まっています。
沖縄県議会においても、子どもの貧困対策特別委員会が設置され論議が進められています。
子ども団体から、県議会に陳情が出され、沖縄の子どもの貧困問題が一過性のブームにならないよう、根幹をなす理念とコンセプトの必要性を問う声や、(仮)「なくそう子どもの貧困条例制定」等を求める陳情が継続審議として採択されています。
沖縄の子どもの貧困は、歴史的構造的問題としてあることから、この問題を沖縄振興の柱として捉えるべきとの声も多く上がっています。
沖縄モデルとしての子どもの育ちを支える実践や仕組み創りへの模索が始まっています。
最後に、今回の調査はなくそう子供の貧困ネットワーク携わる方々の存在が無ければ進まなかった事を付け加えさせて頂きたいと思います。
(文責 沖縄市子ども施策研究会 鈴木友一郎)